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グローバル・クレジット:持続
米国経済の著しい好調さや共和党新政権によるインフレ政策の可能性を背景に、追加利下げの期待は和らいでいます。クレジットのスプレッドはすでに歴史的にもタイトな水準にあり、不安定な金利環境下においてデュレーションは頼れるリターン・ドライバーにはなり得ず、米国債の利回りは依然として高水準にあるため、クレジットにおいて唯一確実なのはインカムだけとなっています。このような背景から特に恩恵を受けているのは、高利回りの資産、特にシニアローンやCLOなどの変動金利商品です。
では、FRBのタカ派姿勢の要因は何だったのでしょうか。また、米国債の高い利回り水準が継続する要因となるのでしょうか。
1. 米国経済の並外れた回復力:
● 米国GDPは第3四半期に2.8%という堅調な年間成長率を記録しました2。
● 消費者心理は11月初旬に7ヶ月ぶりの高水準に達しました3。
● 雇用データは予想を上回る好調さで、11月には225,000人以上の雇用が創出されました4。
2. インフレにつながる可能性のある共和党新政権の政策:
● 関税引き上げによって、輸入消費財のコストが上昇する可能性があります。
● 減税は連邦政府の赤字を拡大させるでしょう。
● 移民制限は賃金上昇を招き、雇用確保が難しくなる可能性があります。
しかし、これらの要因は直線的な経過をたどるとは限りません。最近のインタビューにおいて、ハワード・マークスは「おそらくトランプ氏が実行する事柄の98%は予測できず、また、彼が実行すると分かっている事柄の結果でさえ、おそらく予測できないでしょう」と指摘しています。米国経済は堅調な足取りをみせていますが、データが予想外の結果を示せば、ボラティリティにつながる可能性もあります。また、トランプ政権による政策は、予測できない二次的な影響を及ぼすかもしれません。
マクロ経済要因を予測することは困難ですが、投資家は利回りに注目し、インカムを最大化することでポートフォリオのリターン向上が図れるでしょう。確かに、資産は一般的に信用リスクが高いほど多くのインカムを提供します。従って、高インカムを選ぶことが万能というわけではなく、慎重な審査と下方リスクに対する強固なプロテクションを組み合わせる必要があります。