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パフォーミング・クレジット四半期レポート:現在の貸し手は誰なのか?オークツリーのポートフォリオ・マネージャー、ウェイン・ダールに聞く
米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げと商業用不動産セクターの一部における混乱の中、クレジット市場と米国経済は予想外に底堅く推移しています。それでも景気後退入りの可能性は依然として払拭されておらず、イールドカーブは逆転、企業デフォルトの波が押し寄せるのではないかと投資家の多くが不安を抱いています。オークツリー・ダイバーシファイド・インカム・ファンドの共同ポートフォリオ・マネージャー兼投資リスク・オフィサーのウェイン・ダールは、9月18日に開催されたフューチャー・プルーフ・カンファレンスにてブルームバーグの「Odd Lots」ポッドキャストに登場、現在の市場環境の見方や、機会とリスクはどこにあるのかについて議論しました。以下は、その内容をまとめたものです。
市場はここ1年ほどの間、経済状況や資産価格の動向がどうであれインフレ率は低下すると予想してきました。投資家は、経済が冷え込む兆しが現れればFRBはすぐに利下げに転じると考えており、今年1月、投資適格社債からハイイールド債まで、あらゆるクレジットのセクターが上昇し、スプレッドが縮小しました。
今となれば、それは甘い考えに過ぎず、10年以上ゼロ近辺で推移してきた金利がその背景にあったことは明らかです。高金利時代の記憶がない若者が7%の住宅ローンを組むのを嫌がるように、多くの債券投資家は低金利がすぐに戻ってくると思っていたようです。私たちは皆、低金利の世界に慣れてしまっていて、例えば1970年代のことを思い出すのが難しいのだと思います。
投資家は、金利がしばらく高止まり又は上昇する可能性を示唆する理由がある点を念頭に置くべきです。長期金利見通しのワイルドカード(サプライズ要因)は、米国の連邦債務コストです。金利が大幅に上昇している現在、33兆ドルの政府債務を支えることは持続不可能となる可能性があります。
デフォルトは若干増えていますが、これは異常とも言える低水準からの増加です。私の考え方はこうです:新型コロナウイルスの世界的感染により今回の不況の第一波がもたらされ、それに伴って本来であれば今起こるはずだったデフォルトが発生したため、現在はその第二波に向かっている可能性がある。パンデミック以前、FRBは利上げを中止し、2019年には実際に3回も利下げが実施されたことを思い出してください。その当時、現在と同様に、景気後退入りの典型的な兆候である景気減速が見られました。つまり、コロナ危機はある意味、すでに起こっていた景気減速を加速させ、多くのデフォルトを前倒しさせたのです。
その結果、市場は少し浄化され、財務的なストレスに最もさらされていた低格付け企業の多くが一掃されました。これと同時に、例えばBBB格の借り手がBB格やB格に格下げされるような信用格下げも数多く見られました。BBB格に踏みとどまったものは相対的にクオリティが高かったのですが、コロナ危機中にデフォルトを回避できた借り手は全て、史上最低の金利で借り換えています。そのため、ハイイールド債市場におけるキャッシュフローや満期に関する問題は軽減されています。
30年債の利回りが4.5%であるのに対し、2年以内に償還期限を迎える米国債の利回りが5%を超えることがあるのは事実です。これは異例ですが、前例がないわけではありません。オークツリーにとっては、クレジット・リスクを取る場所を変えるということを意味しています。今(より長期の債券を購入する)デュレーション・リスクを取っても、信用リスクほどのリターンは得られない状況です。
例えば、足元において、ストラクチャード・アセットやシンジケート・ローンからは、米国短期国債を400bps上回るイールドを得られるとします。つまり、変動金利で約9.5%のリターン獲得の可能性があるということです。これらの証券には信用リスクがありますから、この超過リターン分はそれを補うものであると私は考えています。固定金利のハイイールド債については、利回りは現在やや低めであるものの、同等の米国債を4%近く上回っています。
今日の市場において、普通とは何かを定義するのは困難です。世界的なパンデミック、消費行動を刺激する政府の施策、脱グローバル化など、歴史上かつてない時代を経験してきました。雇用統計にせよ、その他の経済指標にせよ、人々の「普通」に対する認識が見通しを形成する一方で、実際には今の世界は大きく異なって見えます。
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