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グローバル・クレジット:持続オークツリーのポートフォリオ・マネージャー、デイビッド・ローゼンバーグに聞く
10年以上続いた歴史的な低金利環境を背景に、多くのポートフォリオは株式への資産配分比率が高くなっています。投資家が高利回りを活用してクレジット・エクスポージャーの再構築に動く中で、オークツリー・ダイバーシファイド・インカム・ファンドの共同ポートフォリオ・マネージャーであるデイビッド・ローゼンバーグに、どこに投資機会を見出しているのか、また、クレジット市場の予想について聞きました。
クレジットは、向こう数年にわたり株式をアウトパフォームする可能性が非常に高いと思われます。過去10年間で積み上がった株式へのオーバーウエイトを削るべく、ポートフォリオ・アロケーションを再調整する流れが確認され始めています。
しかし、利回りが魅力的な局面においても、投資家は選別姿勢を維持する必要があります。景気後退の可能性が懸念される局面は、クレジット・ポートフォリオへの組入銘柄を厳選すべき時です。アロケーションを積み上げるとき、安いインデックス・ファンドを購入したまま放っておきがちですが、その方法はクレジットでは通用しません。
上場クレジット・ファンド(ETF)から、ハイイールド債といったサブセクターへのエクスポージャーを獲得することはできません。クレジットETFは、より流動性が高く、時として利回りが低いサブセクターへのエクスポージャーを提供するものです。そして今、ストレスが増大する局面に入りつつあると考えています。このような環境下では、厳格なクレジット分析を行い、エクスポージャーを厳選する運用マネジャーが有利となります。定義上、ETFは選別的ではなく、パッシブです。
興味深い傾向のひとつとして、現在、パブリックとプライベート・クレジットの双方において優れた投資機会が発掘されています。これまでプライベート・クレジット投資が積極的に行われてきましたが、いかなるプライベート投資においても、「非流動性リスクに見合うリターンを得ているのか」という点を問わなければなりません。リサーチを行い、極めて選別的にならなければいけません。
景気後退は近づいていると考えていますが、見落されがちなのは、現在の景気後退入り局面にある市場のクオリティがおそらく過去最高だという点です。今回は史上最も予期されたリセッションだと思われ、それには2つの意味合いがあります。私自身そしてオークツリーの同僚など運用者は、1年以上にわたりポートフォリオのストレステストを行い、景気後退に陥った場合でも心配不要であると確認しています。そのため、大量のパニック売りは予想していません。企業もまた、ストレステストを実施してきました。CEOは、設備投資や在庫投資、広告などの費用を削減し、その資金をバランスシート強化に投じています。
企業が時間をかけて景気後退への準備を行ってきたため、デフォルトの急増はないと思われます。過去の景気後退期では常に、デフォルト率が2桁台に上がった期間が少なくとも1年ありました。今年は、大半のストラテジストが債券で3%~4%、ローンで4%~5%のデフォルト率を予想しています。実質的にゼロだったデフォルト率と比較すると大幅な上昇ではあるものの、債券の3%~4%は概ね30年平均とほぼ同水準です。
2024年、2025年、2026年に、上昇した金利で借り換えを迫られる満期の壁についても広く論じられています。しかし、デフォルトの観点から、コロナ危機が自浄作用をもたらしました。当時のデフォルト率は5%でした。コロナ危機がなければ、これらの企業は次の景気後退局面でデフォルトに陥っていたでしょう。コロナ危機を受けてこれらのデフォルトがすべて前倒しとなったため、次の景気後退局面でデフォルト率が2桁台に達することはないでしょう。これは非常に重要なポイントであり、より多くの人が気づき始めているようです。
クレジット投資家には、戦術的な投資家と戦略的な投資家の2種類があります。ここ最近まで、クレジットのイールドは4%~5%と魅力に欠ける水準であったため、ほぼ全てのクレジット投資家が戦術的な投資家でした。つまり、長年にわたり、クレジット投資家の多くは、スプレッド拡大時にのみクレジットに投資し、縮小時に売却をしていました。
しかし、ここ6カ月で戦略的な投資家へのシフトが見られます。ここ最近でクレジットが大幅に上昇し、一部の投資家は、景気後退入りとスプレッド拡大の可能性を懸念し始めています。誰でも常に市場のタイミングを計りたいと考えています。しかし、私は常に伝えているのは、市場のタイミングを計ることはできないという点です。足元では、クーポン収入から10%の年率リターンを獲得することが可能です。2年前、同水準のリターン獲得を狙う場合、ディストレスト債やプライベート・エクイティのようなリスクの高い資産に投資する必要がありました。だとすると、投資家が今問うべきポイントは、「リセッション突入とスプレッド拡大が懸念事項なのか」という点です。3年後に振り返り、年率10%リターンの獲得に満足できるなら、投資を検討するべきだと私は考えます。市場のタイミングを計ることはできませんから、戦略的な投資家であるべきです。
重要な開示事項
すべての投資にはリスクが伴います。投資の価値は時間とともに変動し、投資家においては、利益を得るもしくは投資の一部または全てを損失する可能性があります。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク/リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルト・リスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。
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