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グローバル・クレジット:持続2023年における米国経済の減速見通しと金利上昇を背景とした借入コストの増加を受けて、ハイイールド債やレバレッジド・ローン等への投資に慎重となる投資家の姿勢も理解できます。しかし、足元の環境において楽観的な見方を支援する理由が存在しています。クレジット投資は、ポートフォリオのアウトパフォーマンスに寄与する可能性があります。
1. 「クレジット・ピッカー」の市場
2022 年は、金利リスクを背景に、変動金利資産が固定金利資産を相対的にアウトパフォームしました。しかし今年、米国やその他各国における経済成長の減速見通しが現実となった場合、この構図は変化する可能性が高くなっています。2023 年に満期を迎える債券が発行残高に占める割合は7%未満1 であり、事業もかなり健全であることから、短期的なデフォルト・リスクは低水準が維持されるはずです。しかしながら、デフォルト率(図表1)は倍増する可能性があり、ハイイールド債とレバレッジド・ローンのそれは、2023 年にそれぞれ3.00%、3.50%、2024 年にはそれぞれ3.25%、4.00%まで上昇する見通しです2。
投資家の間で楽観的な見方が生まれない限り、債券市場は相当のボラティリティに見舞われ、異なるクオリティ間で乖離が生じる可能性があります。さらに、景気減速、金利上昇、資本市場のタイト化によって、レバレッジド・ローン市場におけるデフォルト・リスクが上昇することも考えられます。これらを踏まえると、クオリティの高い借り手を特定することが重要となるため、今年は「クレジット・ピッカー」の市場となるでしょう。