2022年までの10年間は、好況の潮流に乗って、プライベート・エクイティ業界を含むほぼ全てのセクターが上昇を記録しました。しかし、市場にボラティリティが戻ってきた今、多くの投資家にとって、力強いリターンはそう簡単に獲得できなくなっています。

その理由は、プライベート・エクイティ（PE）業界が価値創造の大部分を市場要因に依存してきたからです。しかし、長期にわたり続いた上昇相場の時代が過ぎ去り、GPはもはやマルチプル拡大をリターンの原動力に見込むことができなくなっています。 

このトレンドを背景として、プライベート・エクイティ投資における第3のステップであり、最後のステップである、オペレーション改善を通じた価値創造に注目が集まっています。優良な事業を見極め、価値ある事業として買収した後、キャッシュフローを向上させるためには、その事業のオペレーションを改善することが重要です。
本稿では、ポートフォリオに組み入れられた事業のオペレーション改善が、どの様にしてプライベート・エクイティの価値創造の大部分を担うことができるのか、また、再現可能なプレイブック（虎の巻）に基づくアプローチがなぜ最善の策なのか、について概説します。