マーケット
資産担保融資(ABF):プライベート・クレジットの次なるフロンティア
過去2年間にわたり上場株式の投資家は堅調なリターンを得てきましたが、リターンが特定銘柄に集中していたことを考えると、今後は株式の分散投資の重要性が高まると考えられます(図表1)。これは、上場株式の補完役として、プライベート・エクイティ(PE)をはじめとするプライベート市場資産の組み入れに個人投資家を含む多くの投資家の関心が高まっている理由のひとつです。
その名の通り、PEは一般的に、公開取引されていない企業への株式投資を指します。世界のプライベート資産市場(15兆1,000億ドル規模)の67%超を占める主要な資産クラスであり1、世界の成長エンジンである非上場企業に投資できるという優れた特性を持っています。機関投資家は長年にわたり、堅調なリターンと長期成長をもたらすPEをポートフォリオの基盤として活用してきました。近年では、新たな投資機会や手段の登場を受けて、個人投資家にとってより身近な資産クラスとなっています。個人投資家層においてアロケーション平均は依然として2%未満ですが、潜在的なメリットに対する理解が深まり、アクセスが改善されたことで、PE投資は増加傾向にあり、まさにパラダイムシフトが起こりつつあると見ています。
PEを含めることで、投資ユニバースが拡大します。世界的に見て、収益が1億ドルを超える企業の85%以上が非公開企業です(図表2)。従って、PEと上場株式の両市場へ投資を行う投資家は、投資の幅が広がることで、結果としてより優れた分散効果と投資結果のアップサイドを得ています。
これと同時に、非公開でいることのメリットが公開を上回るようになり、上場する企業は減少しています。上場は規制面での負担やコンプライアンス関連費用を伴い、知識を基盤とした事業を展開する企業は独自情報の開示に消極的である場合があるからです。一方で、2003年以来、プライベート・エクイティ市場は3倍、プライベート・クレジットは2倍へと拡大しており、深みある資本市場が提供されています。
簡単に言えば、資金調達で公開市場に依存する企業は減少しています。今世紀に入り、上場企業数が減少する一方で、PEスポンサー付き企業は着実に増加しています。結果として、集中化が進む上場銘柄により多くの資金が集まっていることから、PEへの分散や上場株式以外の投資機会模索の必要性が高まっています。
上場企業やその他オルタナティブ投資を上回るリスク調整後リターンと絶対リターンを提供するPEを活用することで、ポートフォリオの強化を図ることが可能です。実際のところ、過去3年、5年、10年のいずれの期間で見ても、PEは上場株式を上回る優れたパフォーマンスを提供してきました(図表4)。
このアウトパフォームの実績の背景には以下を含む多くの理由があります。
ここで明確にしておきたいのは、PEは上場株式と並行して検討すべきものであり、上場株式の代替として考えるべきではないという点です。投資家の中には、ポートフォリオのリターン向上に重点を置く人もいれば、従来の株式や債券からの分散を多様化するプライベート・エクイティの機能を優先する人もいます。いずれにしても、上場株式と並行してPEに投資することで、ポートフォリオの株式リターンを効果的に向上させることが可能となります。今日において、この重要な資産クラスへの個人投資家アクセスは改善しており、その恩恵を受けることがますます可能になっています。
脚注
1. プレキン、2024年第3四半期時点。
リスクに関する記述
資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク/リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルト・リスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。
不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料、入居率に影響を及ぼす経済、法令、環境の要因から影響を受ける場合があります。インフラ企業は、その事業に悪影響を及ぼす可能性のある様々な要因(高金利、高レバレッジ、規制コスト、景気減速、余剰生産能力、競争激化、燃料不足、再エネ方針など)から影響を受ける場合があります。
オルタナティブ投資はしばしば投機的であり、高いリスクを伴います。投資家は、投資金額の全てまたは多額を失う可能性があります。ハイイールド債には金利リスクが伴います。金利が上昇すると債券価格は下落します。一般的に、満期が長期になるほど金利リスクに対する感応度が高くなります。利回りは経済状況に伴って変動します。利回りは、投資意思決定に際する検討事項のひとつにすぎません。
当資料に含まれる情報は、投資助言、取引意図もしくは保有銘柄の示唆または投資パフォーマンスの予測ではなく、そのように意図したものではありません。当資料に表示された見解および情報は、いつでも変更される場合があります。ブルックフィールドは、当該見解や情報を更新する責任を負いません。当該情報は信頼できる情報源から取得したものと見なされますが、ブルックフィールドは、その完全性または正確性を保証しません。
当資料で示された意見は、子会社および関連会社を含むブルックフィールドの現在の意見であり、予告なく変更される場合があります。子会社および関連会社を含むブルックフィールドは、当該情報の更新または顧客への変更の通知を行う責任を負いません。当資料に提示されたいかなる見通し、予測またはポートフォリオ保有比率も当資料に示された日付時点のものであり、予告なく変更される場合があります。過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆するものではなく、投資の価値とそれら投資から得られるインカムは変動することがあります。
将来の見通しに関する記述
当資料は、米国連邦証券法令、具体的に米国1934年証券取引所法(その後の改正を含む)第21E条、そしてカナダ証券法令における意義の範囲内における将来の見通しに関する記述を含む情報やそれらに基づく情報が含まれています。将来の見通しに関する記述は、事業戦略や投資戦略もしくは戦略遂行のための措置、競争力、目標、事業の拡大および成長、計画、見込み、将来の成功への言及など、将来の行動、事象または動向に関して、過去の事実の記述以外のすべての記述を含みます。これらの記述は、過去または現在の事実に厳格に関連しないという事実によって特定することができます。
「予測」、「推定」、「期待」、「予想」、「想定」、「計画」、「考え」やその他の類似する用語は、これらの将来の見通しに関する記述を特定するために用いられます。将来の見通しに関する記述は、不正確な仮定や既知もしくは未知のリスクおよび不確実性によって影響を受ける可能性があります。そうした要素の多くは、将来の実際の結果や成果を決定する上で重要となります。そのため、いかなる将来の見通しに関する記述についても保証はありません。実際の結果や成果は大きく異なることがあります。これらの不確実性を踏まえ、これらの将来の見通しに関する記述に不当に依拠するべきではありません。
ブルックフィールド·コーポレーションとその関係会社(総称して「ブルックフィールド」)が設定するいかなる商品に適用される条件の概要の提供を目的としたものではありません。情報および見解は予告なく変更される場合があります。当資料で提供される情報の一部は、ブルックフィールドの内部調査に基づいて作成されており、一定の情報はブルックフィールドによる様々な仮定に基づいており、いずれの仮定も正確とは限りません。ブルックフィールドは、当資料に含まれる情報(第三者から提供される情報を含む)の正確性または完全性を必ずしも検証しておらず(そして検証する義務を負わず)、いかなる情報についても検証されたものとしてブルックフィールドに依拠することはできません。
当資料で提供された情報は、当資料作成時点におけるブルックフィールドの視点および信念を反映しています。
インデックス·プロバイダーに関する重要事項
当資料内で引用されたインデックスは運用されておらず、投資家がインデックスに直接投資することはできません。インデックスのパフォーマンスは例示のみを目的として記載されており、いかなる投資のパフォーマンスも予測または表示するものではありません。当該比較に関連して、記載されたインデックスとブルックフィールドの戦略、コンポジットまたはファンドへの投資との間には、ボラティリティや規制上および法律上の制約の違いなど、重大な要因が存在する可能性があります。ブルックフィールドは、第三者のインデックス·スポンサーからインデックスに関するすべてのデータを取得しており、当該データは正確と考えていますが、その正確性に関していかなる表明も行うものではありません。インデックスは運用されておらず、投資家が直接購入することはできません。
ブルックフィールドは、当資料で参照されたインデックスを所有しておらず、その構築または日々の管理に関与していません。当資料に記載されたインデックスの情報は、お客様への情報提供のみを目的としており、ブルックフィールドの運用商品が同様の結果を達成すると暗示または予測するものではありません。当該情報は予告なく変更されることがあります。当資料で参照されたインデックスは、いかなる報酬、費用、販売手数料または税金も控除していません。インデックスに直接投資することはできません。インデックス·スポンサーは、インデックスおよび関連データの「現状のまま」での使用を許可しており、これに関していかなる保証も行わず、インデックスまたはインデックスに含まれる、関連する、もしくはそこから派生するデータの適合性や品質、正確性、適時性、完全性を保証せず、それらの使用に関連して一切の責任を負いません。インデックス·スポンサーは、直接的、間接的、特別、偶発的、懲罰的、結果的またはその他の損害(利益の損失を含む)について一切の責任を負いません。インデックス·スポンサーは、ブルックフィールドまたはそのいかなる運用商品やサービスの後援、是認または推奨も行うものではありません。別段の注記がない限り、全てのインデックスはトータルリターン·インデックスです。
インデックスの定義
プレキン·インフラストラクチャー·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資額に基づいて、投資家がプライベート·インフラ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。
プレキン·リアル·エステート·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート不動産ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。
プレキン·プライベート·エクイティ·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート·エクイティ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータを保有するクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時と終了時の両方で個別に算出されています。
クリフウォーター·ダイレクト·レンディング·インデックス(CDLI)は、特定の適格性要件を条件として、上場および未上場の両方を含む事業開発会社(BDC)の原資産の資産加重パフォーマンスで表される、米国ミドルマーケット(中堅)企業貸付のレバレッジなし報酬控除前パフォーマンスを測定する指数です。
FTSE EPRA Nareit ディベロップト不動産インデックスは、運用されていない時価総額加重トータルリターン·インデックスであり、先進国の上場エクイティ·リートおよび上場不動産企業で構成されています。
FTSEグローバル·コア·インフラストラクチャー50/50インデックスは、市場参加者に業界の定義によるインフラの解釈をもたらし、一定のインフラ·サブセクターへのエクスポージャーを調整しています。セクター別構成比率は、半年ごとのレビューの一環として、広範な3産業セクターについて、公益事業50%、7.5%を上限とする線路/鉄道を含む運輸30%、パイプライン、衛星、電気通信塔を含むその他セクター20%の比率に従って調整されます。各グループ内の個別銘柄の比率は、投資可能時価総額の割合で調整されます。
ICE BofA 米国ハイ·イールド·インデックスは、米国国内市場で公募発行された米ドル建て投資適格未満社債のパフォーマンスを追跡しています。
ICE BofA メリルリンチ·グローバル·ハイ·イールド·ヨーロピアン·イシュアーズ·ノンフィナンシャル3%コンストレインド Exロシア·インデックスは、金融発行体またはロシアをリスク国とする証券を除く、より広範なインデックスに含まれるすべての証券を含むサブインデックスで、発行体のエクスポージャーは3%に制限されています。インデックスは米ドルヘッジ、月次でリバランスされています。
MSCI ワールド·インデックスは、先進国の株式市場のパフォーマンスを測定するように設計された、浮動株調整後時価総額加重インデックスです。
S&P 500指数は、幅広く保有されている米国の大企業500社の時価総額加重平均株価指数です。
モーニングスター LSTA 米国レバレッジド・ローン 100 インデックスは、米国レバレッジド・ローン市場のパフォーマンスを測定するために設計された時価総額加重型のインデックスです。
ナスダック指数は、ナスダック株式市場で取引されている企業を時価総額加重方式で追跡する指数です。
© 2025 Brookfield Corporation
ID B691727