投資 / インフラストラクチャー
Q&A:インフラ投資について考える with クロエ・ベリー

インフラという資産クラスの利点と主要トレンド、そして投資家が今こそインフラをポートフォリオに加えるべき理由について、クロエ・ベリーが解説します。

2023年10月29日

Q:インフラ投資のメリットとは?

 

クロエ・ベリー:インフラ資産は、ある重要な特徴に裏付けられています。すなわち、資本集約的で、特定の場所に立地していることが多く、複製が非常に困難であるという点です。そしてこれらの資産は、長期契約に基づく、あるいはインフレ連動型またはインフレ・パススルー(転嫁)型の規制枠組のもとで収益を上げ、維持保守費用が低い傾向にあります。

こうした特徴から、インフラ資産は市場サイクルを通じて安定さを見せており、ボラティリティが低く、魅力的なインカムとキャピタル成長の可能性を提供してきました。また、インフラ資産は他の伝統的資産クラスとの相関が低く、分散効果をもたらします。

分散投資は、利益を保証するものでも、金融市場が下落する中で損失を防ぐものでもありません。


 

Q:個人投資家によるインフラ投資へのアクセスを可能とする枠組みについて教えてください。

 

ベリー:これまで投資家がインフラ投資にアクセスする方法には、個別証券、上場投資信託、投資信託を通して上場インフラ株式や債券を選択するか、あるいは、資本が通常10~12年間ロックアップ(償還不可)され、数年をかけて投資が行われるプライベート(非上場、非公開)のインフラファンドがありました。今新たに注目を集めているのがプライベートインフラに投資するセミリキッド(ある程度の流動性を持たせた)ファンドで、これまで機関投資家や最富裕層の投資家にしか提供されてこなかったプライベートインフラへのアクセスが富裕層投資家層に提供されています。


 

Q:インフラ分野の追い風とは?

 

ベリー:投資機会は膨大です。インフラは、私たちが「3つのD」と呼ぶ、デジタル化(Digitalization)、脱炭素化(Decarbonization)、脱グローバル化(Deglobalization)という、長期の強力な追い風に支えられています。

デジタル化とは、すなわちデータを意味します。世界中で生成されるデータ量は、約18カ月ごとに倍増しています。データは送信、処理、保存する必要がありますので、デジタルインフラの近代化に多額の設備投資が必要となります。これには、通信ネットワークを銅線から光ファイバーにアップグレードして高速化と帯域幅の拡大を図る、5Gをサポートするための無線通信塔の増設、増大するデータ量をサポートし、人工知能の開発を支援するデータセンターの開発など、あらゆることが含まれます。

脱炭素化は再生可能エネルギー発電から始まりますが、クリーン電力をグリッドに接続するための送電資産や、環境に優しい家庭のスマート機器の技術革新などもこれに含まれます。当社では、ヒートポンプ、発電機、屋上ソーラーパネル、蓄電設備、電気自動車(EV)充電ステーションなどを家庭に提供する事業に投資しています。

最後に、港湾の自動化や重要製品の製造拠点を自国市場の近くに移すなど、企業がグローバル供給網の短縮化と効率向上に取り組む中で、脱グローバル化が進んでいます。また、各国政府はエネルギー安全保障に重点を置き、安定性と信頼性の高い供給の確保に乗り出しています。

 

 

Q:これらを取り巻く規制環境を教えてください。

 

ベリー:米国では、最近成立した法律がこれらのトレンドを後押ししています。米国のインフラ投資・雇用法(IIJA)やCHIPS法(CHIPSおよび科学法)は、新たな投資機会を生み出している主な新法と言えます。

例えば、IIJAは、エネルギー移行の加速に向けて、3,000億ドル超規模の税控除、インセンティブ、還付、助成金などが盛り込まれた、ネットゼロ達成に焦点を当てた米国初の大型政策です。中でも、グリーンエネルギー税控除によってクリーンエネルギー投資が大きく後押しされる見通しです。

 

 

Q:投資家がインフラ投資を検討すべき理由とは?

 

ベリー:経験豊かなオーナー(所有者)兼オペレーター(運営者)がマネージャーであれば、インフラス投資はサプライズをもたらさないはずです。正しく運営されていれば、投資家がほったらかしでも、長期にわたり複利する低リスクの魅力的な成長が期待できます。こういった理由から、インフラは投資家の検討に値する魅力的な投資先であると当社では考えています。

 

クロエ・ベリー

インフラストラクチャー、マネージング・ディレクター
クロエ・ベリー

 

 

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プライベート・インフラストラクチャーに関するリスク

すべての投資にはリスクが伴います。投資の価値は時間とともに変動し、投資家においては、利益を得るもしくは投資の一部または全てを損失する可能性があります。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

プライベート・インフラ投資には、一般的な経済環境、地域または市場の集中、政府の規制および金利の変動に関連するリスクなど、インフラ・プロジェクトの所有・運営に付随するリスクが伴います。インフラ証券への投資は、その他多くのタイプの長期投資のように、歴史的に価値の大幅な変動やサイクルを経験しているため、特定の市場状況の結果として、これらの投資先の価値が偶発的または永続的に低減する場合があります。そうした特定の市場状況として以下が挙げられます:(i) 天然ガスや鉱物などのコモディティに対する需要、(ii) 代替的技術の当社事業やサイバーセキュリティ攻撃への影響、(iii) 買収の特定・完了・統合の成否、(iv) 他の市場参加者との競争、(v) プロジェクトの建設または拡大、環境へのダメージ、将来の設備投資、(vi) 国営化や新たな課税など、操業する国における経済規制および不利な規制上の決定、(vii) サプライチェーンの混乱、(viii) インフラ資産に利用する土地に対する異議申し立てや政府の権利主張。