マーケット / クレジット
オークツリーのパノシアン氏:金利上昇が長期化する理由

オークツリー共同CEO兼パフォーミング・クレジット部門統括責任者であるアーメン・パノシアンは最近、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューに応じ、FRBが利下げをそれほど急がない理由や、マクロ経済環境には不透明感が漂う中で、クレジット市場における投資機会に関する見解を語りました。

2024年3月25日

金融市場は今年5月・6月あたりでの利下げ開始を織り込んでいるものの、米連邦準備制度理事会(FRB)は行動を余儀なくされるまで様子見の姿勢を維持する可能性があると、オークツリー共同CEO兼パフォーミング・クレジット部門を統括するアーメン・パノシアンは指摘します。

フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューでコメントした同氏は、次の2つをその理由に挙げています。第一に、政策担当者は「インフレ圧力は一過性のものだ」という2021年の発言について詰問に苦しんだ点、第二に、次期アメリカ大統領選挙に影響を及ぼしていると見受けられるリスクは完全に排除したいからです。これらを考慮すると、中央銀行は、重大な事象が発生した場合に備え、その政策力を維持する決断をする可能性があるとパノシアンは語っています。

クレジット市場は不透明なマクロ経済見通しに直面しているものの、2024年は投資家にとってチャンスとなるはずだとコメントした同氏は、次の見解を示しています:

  • ハイイールド債の利回りは、特にBB-格債と投資適格債を比較すると、依然として魅力的です。債務不履行の増加が予想される一方で、ハイイールド債に占めるBB格の割合は10年前の1/3から現在では約半数へと増加しており、信用の質は向上しています1
  • 大幅なディスカウントで購入されたレバレッジド・ローンは現在、額面以上の価格で取引されています。しかし、金利低下後のリファイナンスやリプライシングの可能性が高まっており、スプレッドは縮小しています。利回りは9.4%と高い水準にありますが、これはバリュエーションの仕組み(損失引当、損益計算書における潜在的な延滞利息支払いの費用計上など)や高レバレッジが影響している可能性があります。
  • 金利上昇に直面して資本市場やM&Aの動きが鈍化した結果、案件取引が減少し、プライベート・クレジットの利回りは若干低下しました(スプレッドは昨年比で約100~150bps縮小)。それでも、BDC2への大規模な投資家資金の流入に加え、民間レンダーが提供する確実性とスピードを求めるプライベート・エクイティ企業からの需要が相まって、依然として大きな投資機会が提供されています。

このような環境を踏まえ、複数の市場サイクルを巧みに乗り切りながら損失を回避してきた実績のある運用会社を選択することの重要性をパノシアンは強調しています。
 


脚注

1.  債券の格付けは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ、フィッチなど、民間の独立した格付け機関が決定する債券の信用度を示す等級です。これらの会社は、債券発行体の財務力や債券の元本と利息の適時支払能力を評価しています。格付けは最高ランクの「AAA」から最低ランクの「D」までのアルファベットで表されます。信用格付けは変更されることがあります。

2. BDC(ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)は、クローズドエンド型投資会社で、1940年投資会社法に基づき米国証券取引委員会が規制しています。BDCは、主に中堅・中小企業(多くの場合、非上場企業や創業者所有の企業)に投資します。BDCは、中小企業投資奨励法(Small Business Investment Incentive Act)に基づき、銀行融資や公開市場を通じた伝統的な資金調達が困難な企業に資金調達の選択肢を提供することで、米国の成長中の中小企業への投資を促進することを目的として1980年に設立されました。BDCのステータスを維持するためには、適格BDC資産に資産の70%を投資する必要があります。一般的には、投資実行時点で時価総額が2億5,000万ドル未満の米国未公開企業または米国公開企業が対象となり、残りの30%は、その他非適格資産への投資を含むことが可能です。

重要な開示事項

すべての投資にはリスクが伴います。投資の価値は時間とともに変動し、投資家においては、利益を得るもしくは投資の一部または全てを損失する可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

資産クラスとして、プライベート・クレジットは、多様なデット商品で構成されています。各商品には独自のリスク・リターン特性があるものの、プライベート・クレジット資産は、パブリック・クレジットとは異なり、一般的に資金調達の選択肢が限定的な企業にオポチュニスティックに焦点を当てるため、総じてデフォルト・リスクが高まっています。プライベート・クレジットは、通常、投資適格未満または無格付けの発行体への貸出を伴うため、プライベート・クレジット資産の利回りは、リスクを取る代わりに上昇します。

ブルックフィールド・オークツリー・ウェルス・ソリューションズ・エルエルシーおよびブルックフィールド・パブリック・セキュリティーズ・グループ・エルエルシーは、ブルックフィールド・コーポレーションが間接的に過半数の持分を保有する子会社です。

当資料に含まれる情報は、教育および情報提供のみを目的としており、いかなる証券もしくは関連する金融商品の募集または購入申し込みの勧誘ではなく、そのように解釈するべきではありません。当資料は広範な市場、産業もしくはセクターのトレンドまたはその他の一般的な経済・市場状況を論じており、秘密情報として提供しています。

将来の見通しに関する記述

当資料は、米国連邦証券法令、具体的に米国1934年証券取引所法(その後の改正を含む)第21E条、そしてカナダ証券法令における意義の範囲内における将来の見通しに関する記述を含む情報やそれらに基づく情報が含まれています。将来の見通しに関する記述は、事業戦略や投資戦略もしくは戦略遂行のための措置、競争力、目標、事業の拡大および成長、計画、見込み、将来の成功への言及など、将来の行動、事象または動向に関して、過去の事実の記述以外のすべての記述を含みます。これらの記述は、過去または現在の事実に厳格に関連しないという事実によって特定することができます。「予測」、「推定」、「期待」、「予想」、「想定」、「計画」、「考え」やその他の類似する用語は、これらの将来の見通しに関する記述を特定するために用いられます。将来の見通しに関する記述は、不正確な仮定や既知もしくは未知のリスクおよび不確実性によって影響を受ける可能性があります。そうした要素の多くは、将来の実際の結果や成果を決定する上で重要となります。そのため、いかなる将来の見通しに関する記述についても保証はありません。実際の結果や成果は大きく異なることがあります。これらの不確実性を踏まえ、これらの将来の見通しに関する記述に不当に依拠するべきではありません。当資料は、ブルックフィールド・コーポレーションおよびその関連会社(総称して「ブルックフィールド」)が提供する商品に適用される条件の概要を示すものではありません。情報や見解は予告なしに変更となる場合があります。当資料で提供される情報の一部は、ブルックフィールドの内部調査に基づいて作成されており、一定の情報はブルックフィールドによる様々な仮定に基づいており、いずれの仮定も正確とは限りません。ブルックフィールドは、第三者から提供された情報を含め、当資料に含まれる情報の正確性または完全性を当該仮定に基づいて必ずしも検証(および検証する義務を是認)しておらず、当該情報を検証したものとしてブルックフィールドに依拠することはできません。当資料で提供された情報は、当資料作成時点におけるブルックフィールドの視点および信念を反映しています。