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潮目の変化:低金利が不動産市場に与える影響プライベート・クレジット、インフラ、不動産の見通しを取り上げたオルタナ四半期レポートをご覧ください。
2024年第3四半期も、市場は引き続き力強いリターンを記録しました。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の会合で、フェデラルファンド金利の50ベーシスポイント(bps)引き下げを実施しました。これにより2022年3月に始まった利上げサイクルは終了し、同期間中に金利は525bps上昇したことになります。世界では多くの中央銀行が緩和の道へと進んでいます。
FRBによる利下げは前四半期における大きなイベントでしたが、世界の投資家が関心を寄せているその他の出来事からは、株式やその他のリスク資産が今後どのような道を辿るのかに関しては、不透明感があることが伺えます。経済見通しはまちまちであり、地政学的緊張はマクロ環境にとって引き続き厳しい状況となっています。最近の米国大統領選の結果からは、今後政策が大転換することが見込まれ、世界の他の主要な選挙からも、さらなる政策転換の可能性が高まっています。これらすべてが、今後数週間から数カ月間のボラティリティの上昇につながる可能性があります。
一方、投資家がこのような環境の変化を乗り切るには、次の3つの点を念頭に置くことが重要です:
利回りは依然として魅力的:金利低下は、金融危機後の「低金利長期化」への回帰を意味するものではありません。FRBは11月にさらに25bpsの利下げに踏み切ると見られており、市場では今後15カ月間で追加利下げが行われると予想していますが、オークツリーの共同設立者であるハワード・マークスが「Sea Change(潮目の変化)」という論文の中で述べているように、債券商品は依然として魅力的な利回りを提供しています。
景気先行きは不透明:これまでのところ、米国経済は比較的堅調に推移していますが、減速の兆しがあることからFRBが行動を起こしました。本稿では、実現可能性のある経済シナリオと、それぞれが投資家にとってどのような意味を持つかについてご説明します。
オルタナティブ投資(オルタナ投資)は投資家にとってソリューションとなり得る:オルタナ投資は、分散投資によるポートフォリオの強化、インカムの提供、インフレヘッジ、一般市場で入手可能な水準を上回る利回りを提供する可能性などの利点を備えています。
このような背景の下、今回のオルタナ四半期レポートでは、オルタナ投資が金利低下環境からどのような影響を受ける可能性があるか、また資産クラスに影響を与えるその他の主要トレンドについて見ていきます:
・プライベート・クレジット:様々な経済シナリオを検討し、それぞれが金利とプライベート・クレジット市場にどのような影響を与えうるかを探ります。
・インフラストラクチャー:世界各地で選挙が相次ぎ、一部の資産クラスにとってリスクが高まるような政策転換が起こる可能性がありますが、当社では、インフラへの投資は一貫したリターン確保に加え潜在的なリスク緩和策にもなり得ると確信しています。
・不動産:低金利が不動産市場の回復に拍車をかけている点と、投資に最適な状況にある点についてご説明します。
また、四半期毎に発行する「オルタナ市場ダッシュボード」では、オルタナ投資に関するデータ、市場や投資に関する洞察を紹介しています。注目すべき数字には以下が含まれます。
・8,920億ドル:エネルギー移行インフラが引き続き資本を引きつけており、投資家は2014年以降、一定のエネルギー移行に取り組むインフラファンドに8,920億ドルを投じています。
・110百万ドル:ディール環境の改善を背景に、プライベート・エクイティの平均ディール規模は過去10年間で最高の110百万ドルに達しています。これは過去10年間で最高水準であり、自信を深めた市場参加者がより大きな取引をサポートするようになっています。
・11.65%:プライベート・クレジットは強力なインカムを提供していますが、実現損と未実現損の両方が増加していることから、数値としては過去の平均を下回る、やや抑えられたものになっています。
金利が低下傾向にある中、FRBによる今後の金利引き下げの可能性、それが示唆する経済への影響、そしてプライベート・クレジット投資への影響に注目が集まっています。
現在、FRBは2025年末までに複数回の追加利下げを予測しています。もちろん、今後の利下げがどのような道筋を辿るかは、データが示す経済の強さ次第です。そこで、よく議論される経済に関する3つのシナリオと、それぞれがクレジット市場にとって何を意味するかについて考えてみます。
現在、ソフトランディングとランディングなしのシナリオが最も可能性が高いと当社では考えています。そのような環境下では、パフォーマンスを向上させるためにさらなる金利低下を必要とする長期ポジショニングに頼らず、ポートフォリオのリターンを向上させるためにインカムの最大化を目指すことが投資家にとって極めて重要となります。
このような背景から、今後のプライベート・クレジットの見通しについては、いくつかの重要な検討事項があります。
利回りは依然として魅力的:最近の金利低下にもかかわらず、プライベート・クレジットの利回りは維持されており、投資家は辛抱強く保有することで見返りを得ることができることが示されています。さらに、ランディングなしのシナリオでは、プライベート・クレジットの絶対利回りは依然として高い水準を維持すると見られます。同時に、スプレッドは縮小する可能性がありますが、今後の金利引き下げのペースと規模が不透明であることを踏まえると、変動金利資産は歴史的に高い政策金利の恩恵を今後も享受するはずです。より高い利回りを維持することに重点を置く投資家にとって、プライベート・クレジットは依然として魅力的な資産クラスであると当社は考えています。(図表1)。
デュレーション管理がカギ:積極的な利下げが織り込まれた今、デュレーション(金利変動に対する感応度)の過度な拡大は避けることが特に賢明です。経済が強さを維持した場合、特にランディングなしのシナリオでは、こうした金利引き下げは現在の予想通りには実現しない可能性があります。その場合、積極的な利下げが織り込まれていたが経済の強さから実施されず、結果としてデュレーションをリターンの主なドライバーとしていた投資が損害を被った、2023年初頭と2024年の過ちを繰り返すことになります。
プライベート・クレジットは主に変動金利ローンで構成されている:幸いなことにプライベート・クレジットは変動金利ローンで構成されているのが特徴で、ポートフォリオにおけるデュレーションのボラティリティの悪影響をある程度軽減することが可能です。変動金利のクーポン利回りは金利の動きと連動するため、ローンのクーポン支払いの現在価値を防衛し、その結果、固定金利のローンよりも価格のボラティリティが低くなります。
結論:最も可能性の高いシナリオ(ソフトランディング・シナリオまたはランディングなしのシナリオ)では、すべての債券資産でスプレッドの圧縮が広まる可能性が高いこと、つまり、債券が全面的に再評価される可能性がある点には注意が必要です。しかし、プライベート・クレジットの利回りは現在も約11%で推移しており、これは他の債券資産クラスを依然として大きく上回る水準です。 実質的な非流動性プレミアムは依然として存在しており、景気低迷/景気後退を背景に、長期投資家にとってはより流動性の高い資産へのシフトは必ずしも必要ではないかもしれません。 他の債券資産クラスと比較すると、このシナリオではプライベート・クレジットは引き続き投資家に魅力的なインカムを提供し続けるでしょう。
2024年においては、これまでのところ、金利が世界の投資家の注目を集めていますが、地政学的な出来事、すなわち選挙ラッシュも注目されています。今年、世界の人口の半分以上が民主的な選挙に参加しました(図表2)。多くの企業にとって、政権交代による政策転換は、成長見通しにリスクをもたらす可能性があります。
しかし、インフラ投資はその重要な性質上、通常は政権交代の影響を受けにくいのが特徴です。さらに、投資マネージャーが投資対象国を選別している場合、この資産クラスへのエクスポージャーはリターンの一貫性をもたらし、地政学的環境が変化する中でのリスク軽減に役立つと当社は確信しています。
投資を行う前に考慮すべき国の重要な特徴としては、確立された法の支配、強力な資本市場、プライベート資本や外国資本の尊重、規模拡大が可能な事業を構築する能力、質の高いインフラ資産に対するプライベート資本による資金調達ニーズや必要性などが挙げられます。
さらに投資家は、グローバルに投資する際、以下の点に重点を置く投資マネージャーを採用すべきであると当社は考えます。
グローバルの規模を持つ一方で、現地の運営モデルを備えている:各地域で存在感を維持しつつ、すべての地域に「現場」感のある専門知識を持つことが、ディールフローを促進し、資産管理を容易にします。地域のダイナミクスに対する理解を深め、新興国への投資における潜在的なリスクを低減するためには、現地の戦略的パートナーと緊密に連携することが重要です。
規制リスクはすべて同じではない:最終顧客や料金支払者から少なくとも一歩離れた投資(すなわちB to B)に焦点を当てることが重要です。これにより、例えば関税が上昇した場合など、政治介入による潜在的なリスクを軽減することができます。
グローバル経済に不可欠な質の高いビジネスを所有する:マネージャーは、顧客とその地域経済にとって重要な、優れた経営を行う事業に焦点を当てるべきです。例えば、人工知能(AI)、脱炭素化、リショアリングのトレンドと並んで、世界経済を牽引する資産を選択する運用会社に注目してください。現在までのところ、これらのトレンドを支持する政治的コンセンサスは幅広く存在しており、今後の選挙の結果に関わらずこのようなセンチメントは続くと思われます。
投資レベルでのリスク管理に加え、資産タイプ、セクター、地域を問わず多くの資産を保有することによる分散が、最大のリスク低減策だと当社では考えています。
経済状況の改善と金利環境の低下により、不動産市場は回復基調にあります。FRBが9月に実施した50bpsの利下げは、過去2年間の不動産取引量を鈍化させた高金利という逆風を沈静化させました。そして、11月の25bpsの追加利下げが不動産市場をさらに下支えするはずです。FRBによる緩和策は、不動産投資を下支えする環境を生み出すその他のファクターを背景に実施されています。これらを総合すると、不動産市場は不動産投資家にとって魅力的なエントリー・ポイントにあると考えられます。
デット市場の再開:商業用不動産担保証券の発行が急増していることからも明らかなように、デット市場が活気を取り戻しており、市場サイクルはすでに次の段階に入っています。2024年上半期の新規発行額は423億ドルと、前年同期比で約3倍に増加しました。
熟練した不動産マネージャーがアクセスできるさまざまな機会:金利はここ数カ月と比較するとかなり低くなっていますが、新型コロナの景気低迷局面で多くの商業用不動産ローンが実行された時期と比較すると、依然として高い水準にあります。これらのローンは今後数年間で満期を迎えることになります。S&Pグローバルのデータを基に集計したところ、米国商業用不動産ローンのおよそ9,500億ドルが2024年に満期を迎えると推定されており、さらに2026年までに2兆2,000億ドルが満期を迎える見込みです。金利上昇と資本ストレスの余韻が残る中、今後3年間に到来する満期の壁は、機動的な不動産戦略に幅広い投資機会をもたらすはずです。これには、ディストレスト・ローンや不良債権も含まれ、売り手が借り換えできない場合、債権者の多くは債務を放棄しようとします。このような機会を見つけるには、もちろん、市場外取引にアクセスできる熟練した経験豊富なマネージャーが必要です。
供給が伸び悩むも需要は旺盛:賃貸住宅や物流施設の新規供給は、ここ数年落ち着いています。コースター不動産データによると、これらセクターにおける新設着工件数は、最近のインフレを受けた建設コストの上昇により、2024年第2四半期時点でピーク時から70%減少しています。賃貸住宅需要は持ち家取得コストの上昇に支えられており、(都市部の空き地を活用した)インフィル型の新規倉庫施設に対する需要は、Eコマースの成長に支えられて堅調に推移しています。これらの要因は、既存資産の価値を強力に下支えしており、需給関係を考えれば、こうした傾向は今後も続くと思われます。
結論:市場のタイミングを計ることはほぼ不可能です。幸いにも、長期的な目標を持つ投資家は、底値を狙う必要はありません。なぜなら、投資のタイミングに関わらず、長期間でみると大きな利益を得られる可能性が高いからです。とはいえ、不動産市場は四半期比で改善の兆しを見せており、今後のパフォーマンスが上昇することが示唆されています。つまり、評価額の改善の可能性を考慮すれば、不動産ファンドへの投資は今がチャンスであり、最高のエントリー・ポイントをつかむ絶好のタイミングであると考えています。
リスクに関する記述
不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料、入居率に影響を及ぼす経済、法令、環境の要因から影響を受ける場合があります。インフラ企業は、その事業に悪影響を及ぼす可能性のある様々な要因(高金利、高レバレッジ、規制コスト、景気減速、余剰生産能力、競争激化、燃料不足、再エネ方針など)から影響を受ける場合があります。
オルタナティブ投資はしばしば投機的であり、高いリスクを伴います。投資家は、投資金額の全てまたは多額を失う可能性があります。ハイイールド債には金利リスクが伴います。金利が上昇すると債券価格は下落します。一般的に、満期が長期になるほど金利リスクに対する感応度が高くなります。利回りは経済状況に伴って変動します。利回りは、投資意思決定に際する検討事項のひとつにすぎません。
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将来の見通しに関する記述
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インデックスの定義
プレキン·インフラストラクチャー·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資額に基づいて、投資家がプライベート·インフラ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。
プレキン·リアル·エステート·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート不動産ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。
プレキン·プライベート·エクイティ·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート·エクイティ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータを保有するクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時と終了時の両方で個別に算出されています。
クリフウォーター·ダイレクト·レンディング·インデックス(CDLI)は、特定の適格性要件を条件として、上場および未上場の両方を含む事業開発会社(BDC)の原資産の資産加重パフォーマンスで表される、米国ミドルマーケット(中堅)企業貸付のレバレッジなし報酬控除前パフォーマンスを測定する指数です。
FTSE EPRA Nareit ディベロップト不動産インデックスは、運用されていない時価総額加重トータルリターン·インデックスであり、先進国の上場エクイティ·リートおよび上場不動産企業で構成されています。
FTSEグローバル·コア·インフラストラクチャー50/50インデックスは、市場参加者に業界の定義によるインフラの解釈をもたらし、一定のインフラ·サブセクターへのエクスポージャーを調整しています。セクター別構成比率は、半年ごとのレビューの一環として、広範な3産業セクターについて、公益事業50%、7.5%を上限とする線路/鉄道を含む運輸30%、パイプライン、衛星、電気通信塔を含むその他セクター20%の比率に従って調整されます。各グループ内の個別銘柄の比率は、投資可能時価総額の割合で調整されます。
ICE BofA 米国ハイ·イールド·インデックスは、米国国内市場で公募発行された米ドル建て投資適格未満社債のパフォーマンスを追跡しています。
ICE BofA メリルリンチ·グローバル·ハイ·イールド·ヨーロピアン·イシュアーズ·ノンフィナンシャル3%コンストレインド Exロシア·インデックスは、金融発行体またはロシアをリスク国とする証券を除く、より広範なインデックスに含まれるすべての証券を含むサブインデックスで、発行体のエクスポージャーは3%に制限されています。インデックスは米ドルヘッジ、月次でリバランスされている。
MSCI ワールド·インデックスは、先進国の株式市場のパフォーマンスを測定するように設計された、浮動株調整後時価総額加重インデックスです。
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