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賃貸住宅:良好なファンダメンタルズが当面継続

賃貸住宅市場は極めて堅調となっており、強固なファンダメンタルズに支えられ、明るい長期見通しが示唆されています。

2024年5月22日

アメリカンドリームの象徴となってきたマイホームの購入。多くの人にとって、この夢はますます遠いものになっています。住宅の供給はタイトで、十分な頭金の貯蓄は徐々に困難となっており、住宅ローン金利はここ2年で劇的に上昇しています。

その代わり、賃貸住宅に留まる人が増えています。その結果、賃貸住宅市場は極めて堅調となっており、強固なファンダメンタルズに支えられ、明るい長期見通しが示唆されています。これら要因を背景に、魅力的な投資機会が登場しています。

賃貸住宅に対する旺盛な需要が継続すると見込まれる背景には、主に2つの要因が存在すると考えています。

 

1. 見込購入者に対する新築住宅不足
 

単純に、米国では世帯形成人口に対して十分な住宅建設がなされていません。住宅建設が人口増加を下回る状況が10年以上にわたり継続してきた結果、新築住宅の大幅不足が生じています(図表1)

実際のところ、下図で示した通り、一戸建て住宅建設と世帯形成のギャップは、2014年から2023年の10年間で580万戸まで拡大しています。集合住宅分を考慮すると、この数値は住宅不足を過大評価している点に注意する必要があります。米国国勢調査データによると、賃貸されるケースが圧倒的に多い集合住宅の着工件数を含めた場合、同ギャップは170万戸へと縮小します。それでも、大幅な不足に変わりはありません。世帯形成のペースは、取得可能な住宅供給と新規住宅建設を大きく上回っています。

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米国の世帯形成と一戸建て住宅着工件数(1,000世帯/戸)

さらに、住宅不足はコロナ禍で悪化しています。全米リアルター協会によると、住宅在庫は僅か5年間で45%の減少を記録しました(図表2)

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図表2:米国の中古住宅販売と住宅在庫(季節調整なし、100万戸)

2. 住宅取得能力の低下
 

見込住宅オーナーの多くにとって、住宅の購入は相当困難になっています。住宅ローン金利が上昇してきたものの、住宅価格の大幅な下落につながっていません。要するに、金利が高水準となった融資環境と住宅価格の上昇が相俟って、賃貸と所有のコスト差に大きな開きが出ています(図表3)

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図表3:住宅取得能力

一方、見込住宅所有者にとって常に課題となってきた頭金の貯金は、さらに大きなチャレンジとなっています。住宅価格は過去4年間で高騰しており、頭金の平均額は50%増加しています(図表4)。多くの場合、住宅ローン金利高と同程度またはそれ以上に頭金の準備がマイホーム取得の障害になっている点は、当然のことでしょう。そうした課題に加えて、若年層の見込住宅所有者の多くは、学費、自動車、クレジットカードなど巨額の債務を抱えており、住宅購入をさらに困難にしています。

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図表4:一戸建て賃貸住宅トップ市場における10%頭金の平均

これらを踏まえると、賃貸する人の多くが所有に転じることができない点は、驚くべきことではないでしょう。実際に、持ち家率は、30年平均以下に低下しており(図表5)、今後数年にわたり低水準を維持すると予想されます。

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図表5:米国の持ち家比率

こうした環境下において、長期にわたり賃貸を継続する世帯が増加すると見込まれ、賃料の安定した上昇につながると予想されます。さらに、労働市場は依然として堅調で、世帯形成と賃貸需要の増加を促進しています。米国では、雇用者数の伸びが継続する一方で、失業率は低水準が維持され、賃金は着実に増加しています。

しかし、全米リアルター協会のデータによると、2023年年末時点の全米住宅価格中央値は391,700ドルで、従来の30年固定金利住宅ローンを返済するには、年間109,000ドル超の給与が必要となります。米国労働統計局によると、2023年第4四半期の平均年間給与は僅か59,384ドルでした。

見込住宅所有者にとって足元の環境はかなり厳しいものの、経済ファンダメンタルズは全体的に健全で、引き続き賃貸市場を支えると考えられます。賃貸住宅は、一戸建てと集合住宅の両方において、今後数年にわたり力強い賃料の伸びが見込まれる数少ないセクターの1つです(図表6)

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図表6:賃貸住宅の収益見通し

まとめとして、賃貸住宅のファンダメンタルズは堅調で、長期成長のサポート材料となるでしょう。住宅ローン金利高と頭金不足を背景とした住宅所有コスト高から、賃貸と所有のコスト差が拡大しています。加えて、住宅供給不足の解消には何年もの時間を要する可能性があり、マイホーム購入適齢期にある25歳~54歳の人口大幅増による需要の拡大は、引き続き市場にとって圧力となっています。これら全てを踏まえると、賃貸住宅市場は短期・中期だけでなく長期にわたり極めて魅力的な投資先であることが示唆されています。


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